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肥田 舜太郎,鎌仲 ひとみ
筑摩書房
¥ 756
(2005-06-06)
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メインは劣化ウラン弾なんだけど、これの問題を探るうちに、被曝したお医者さんと出会って、原爆と劣化ウラン弾との話になったわけだ。
原爆って、被害被ってるのは広島長崎だけでなく、アメリカ国内で原爆実験場に居た人たちも、やっぱり健康被害を受けている。皮肉な話があって、双子の兄弟が居て、兄は被害を訴えて、貧しく、虐げられていった。弟は被害を否定して、自分の畑で作ったジャガイモを大手ハンバーガー会社に売って大儲けした。でも、たとえ弟に健康被害が出ても、それは自分では言えない。だって、もうけが全部なくなるもん。そういうからくりなんだな。
イラクの劣化ウラン弾問題は、結局、コドモが被害を受けている。何故って、コドモの方が、細胞分裂が盛んだから。更に細胞分裂が盛んな胎児も、奇形で流産、死産が増えている。それで、生みたがらない女性が増えているそうだ。文化として、健康なコドモを生むことが女性の価値ってところがあるから、障害児を産んだ、となると、自分のアイデンティティが亡くなってしまうらしい。コドモたちも、入院しても、どうしようもない。薬が切れると、命が切れる。薬だって、経済封鎖のせいで入らない。もともと医学が盛んで、医者も志の高いのがいっぱい育っていたクニなのに、薬がないから、どうしようもない。闇で手に入れるために、家族は財産も何もかも全部売って、薬を買う。でも、それも限界がある。そして、コドモは静かに死んでいく・・・。
原発の問題で、読んだ本だけど、起ころうとしている事は同じでも、その前段階は随分構造が違うな。違うけど、結局、ニンゲンの愚かさが原因って事だけは一致だ。
でも、読んで、げんなり、落ち込んだ。