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平凡社
¥ 1,260
(2011-10-27)
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これ、すげえ。震災関係本の中で、異色の1冊。
関東大震災の直後、内務大臣だった後藤新平が、復興院に抜擢される。この人、もともと東京市長だった(当時は東京市)んだけど、この震災で、都市について、このままじゃいかんと、大風呂敷を広げる。その結果、小学校は全部耐震耐火施設に建て替えられ、公園が作られ、おおきな道路が造られ、いろんな建物が耐震耐火になる。そして、それが今もぽこぽこ残っている。彫り物入りのだったり、ゴシックだったりするのが、大抵そうだった。耐震耐火だから、空襲にも耐えたのもあったりする。
結局、後藤新平は、大風呂敷だってんで、全部やり遂げないで辞めさせられるんだけど、こうして振り返ったら、半端無いんじゃないの?って、そういうわけ。
基本、この本は写真集なんだけど、なるほど、こういう意図で建てられていたのか、と、しみじみしてしまう。まずは、コドモを助けなければ未来はないってんで、小学校だったんだろうな。
でも、これとほぼ同時に読んだ、「被災地を歩きながら考えたこと」にあったんだけど、津波にやられた被災地で、残っているのは小学校だけなんだって。使い続けられるくらいに残ってるんだって。でも、一体、この小学校に通う子供は何処に居るんだ、という1文に、建築学者として歯軋りする姿を見た。
後藤の考えた理想は、本当に理想だったけど、でも、その後で確かに人を救った。こういう政治家、出ないかな。