星人であるシリウスは、無実の罪で地球の犬に転生させられる。この一生の間に、ゾイを見つけなければそれきりで復権することもなく命を終えるというのだ。ところが、犬に生まれ変わってしまったので、ゾイが何であったのか、自分が何であったのか、思考力すらも無い。一方、生まれ変わったシリウスは川に流され殺される所を、少女キャスリーンに救われる。彼女はアイルランド紛争の為に、唯一の肉親である父が獄中にあり、その為、イギリス人一家に養われて、というか、こき使われているのだ。彼女の見方は、シリウスと、一家の弟ロビンだけ。一見公平に見えるダフィールドさんは、自分の都合が第一だし、兄のバジルはことごとくキャスリーンにもシリウスにも辛くあたる。最も過酷なのは、まだ学校に通っていなかったらしいキャスリーンに家事一切を押しつける、自称陶芸家の母親、ダフィー。
シリウスは、太陽=ソルや、地球、月の手を借り、一家の先住者である猫の親子と手を結んだりして、ゾイを探す。
ラストは、まあ、キャスリーンが幸福になって何より、ではあるが、やっぱりシリウスは彼女の飼い犬には戻れない。
アイルランド紛争だの、差別意識だの、何というか、当時としては物凄い最先端の問題だったんだろうなあと思う。SFと言えばSF,でも、やっぱりFTになるんだろうなあ。伴星の根性の悪さが、ニンゲンのオンナそのもので、ジドウブンガクらしくないと言えばらしくない。