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大山 のぶ代
小学館
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(2006-05-26)
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知人に、声優ファンが居る。つか、アニメ好きは、声優にやたら詳しい場合が多い。自分は、ちびまる子ちゃんか、旧ドラえもんのどちらかしか聞き分けられない野暮天なので、ドラえもんの声優交代は、すっっっげえ、ショックだった。だって、判らんねんもん。それ以外。
で。
その大山氏のエッセイ。タイトル、最高。もう、タイトルだけで合格点。
内容は、ああ、御本人が書かはったんやなあ、ゆうんがよお判る。悪く言えば、文章、そんな上手じゃない。良く言うと、素朴でよく伝わる。
これ読んで判った事。声優つう呼称は、駄洒落つか、冗談でしかなかったっぽい。
大山氏は、あんなやけど、すっげえ、実はキビシイ。昔TVで声優チャレンジな若人に対して、この方だけは、もう、すげえ、びしびし、言いまくる。相手が泣いても言いまくる。全て正論。あ、このヒトは、本気なんやと思うた。泣かしたから悪者、やのおて、若人の甘さをきちんと指摘している。
気に入ったエピソード。杉並区の小中学生相手の講演会の後、学校代表のコドモ達にサインをしていたら、車いすの子の母親が、この子を先にしてくれと順番を抜かす。でも、大山氏は、「ぼくもみんなと同じショウガクセイよねえ」と言って、ここで見ててね、と、答える。子どもは「ほんなじ、ほんなじ」とニコニコして待っている。その内、チュウガクセイ達が、「僕達は中学生だから、この子を先にしてやって」と言い出して、初めてサインの運び。中学生には、「小さい子を先にしてやった」事へのお礼で、宛名を書いてやる。後日、その子の親御さんから、感謝状が届く。あれ以来、「ぼくも同じだから」と自分で何でもやろうとするようになった。お礼に家業の薬局のおまけや試供品がぎっしり入っていた。そのお礼にドラえもんカレンダーを贈ったら、今度は「カレンダーに予定を書き込んで自分で計画立てるようになった」と、年に一度の交流が始まって、という話。ああ、すげえよ、この方、と思った。