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スティーヴ ホデル
早川書房
¥ 882
(2006-09)
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カテゴリー分けに悩んだ。これは、実際にアメリカで起きた殺人事件である。
最初は、あまりのアリエナさに、フィクションかと思ったが、どうやらそうではない。
筆者は、元ロス警察の殺人課刑事。裕福で成功した老父が老衰で死に、その遺品を整理していたところ、持ち歩き用の小さいアルバムに、何人もの美しい女性が写っていた。元妻。元彼女。そして、何故か、あの有名なブラック・ダリア事件の被害者、エリザベス・ショート。しかし、何故?
そこから、彼の調査が始まる。
ブラック・ダリア事件は、全裸で、しかも胴体から2分割されて、拷問の後のある、美しい、けれど口も刃物で耳まで切られた、ともかく、読んでいて吐き気を催すような殺人事件だ。それは1940年代の話。犯人は見つからず、ブラック・ダリアといえば、迷宮入りの極悪事件、みたいな代名詞になっていた。
ところが、丁寧に読み解いていくと、その、筆者の父親の影がある。
というか、その、筆者の父親という人物が、実は、ひどく偏りのある男だったと分かってくる。異常者。
最初は読みづらかったんだが、だんだん事件が見えてくるにつれ、どんどこ読めてきた。