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霜月 たかなか
朝日新聞出版
¥ 735
(2008-12-12)
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判ったこと。
コミケって今、すんげえ流れになってるが、創世当時は、今のSF大会っぽかったってこと。
印刷技術が一般向けに無かったから、酷いときは、同人誌=手書きを回し読み みたいな世界だったようだ。何とか、青刷りが出来るようになった後も、絵を描くのは至難の業。どちらかというと論評とかが多かったっぽい。
で、マンガ大会から、ドロップアウトしたのがコミケであるわけ、らしい。
最初は、売るだけでなく、イベントとして、アニメ上映とかしたらしい。それも、アニメっつーても、萩尾望都の「11月のギムナジウム」のマンガのコマを撮影して、紙芝居のように変えていったのに、音をつけただけ、というシロモノ。その音も、素人の声で、更に、効果音なんて何処にもないから、どたばたやったり、酷いときには、テレビの心理効果音のピキーン!てのを録音して、流したりという状態だったらしい。加えて、テープの切り貼りとか出来ないから、一発録音。ピキーン!のタイミングが来るって全部撮り直し、なんてこともあったらしい。が、BGMに使われたパッヘルベルのカノンが大当たりだったらしく、上映後、周囲のレコード屋から、一次的にカノンの入ったレコードが軒並み売り切れるという怪現象があったんだとか。
ヤオイは当時から流れであったんだなあ、とか、コスプレもあったんだなあ、とか。でも、それはSF大会にも共通することなんだがな。
何つかこう。
SF大会は、講義があるから、それを聴きに行く、みたいなとこがあるんだが、同好、の意図がわしには理解出来ない世界なんだなってことは判った。
結局、筆者は、創世メンバーだったが、オトナになり、離れていく。26年ぶりに会場に立った筆者は、誰よりも判っていない浦島太郎になってしまって呆然とした・・・・。
ちょっと、いいな、と思ったのはラストだ。
「それでも、『漫画新批評大系』を置く場所は、現在でもコミックマーケットの会場に「迷宮」の即売スペースとして特別に提供され続けている。 けれどもそのスペースを与えられた「迷宮」がどんなサークルなのか、知っている参加者はもう誰もいない。」