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鈴木 輝一郎
新潮社
¥ 714
(2005-06-16)
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すんごい面白かった。
義経は、X理論Y理論のY理論で動いている。X理論ってのは、労働は苦痛であるという考え方。Y理論は、労働はスポーツと同じであるという考え方。でも、彼は、ほう・れん・そう が 余りにも出来なかった。確かに合戦の天才である。頼朝は、かなりの合戦下手である。だから、ケータイがありゃあね、という話。ついでにいうと、義経は、始末書として一番書いては行けない典型を書いている。言い訳、愚痴、苦労話。
後は、頼朝は「やってはいけないオンナ」と「絶対にやらねばならないオンナ」の見極めがよく出来ていた。オンナ狂いはしていたが、地方豪族と血縁をつなぐには、オンナを使うしかなかったのだ。敗者として生かされていただけの頼朝は、意図して無害を装った。オンナ遊びの為に殺されそうになる始末。でも、同時に読経三昧だったのは、京言葉を失わない為でもあったと思われるそうだ。一方、義経は、鞍馬育ち、京の文化や言葉が身に付いている。ぶさいくだったという説もあるが、母親が絶世の美女、父親もイケメンだったんだから、そんな不細工ではない筈。つまり、京に馴染みやすいって事だな。
後は、木曽義仲。こいつにトラックがあれば、という話。義仲の軍は、物量を伴わずに京に来てしまった。だから、怯えて貴族が逃げ出した空っぽの京で略奪し放題だった。更に、豪雪地帯から来ているから、軍の連中は、雪で帰れなくなる前に、とっとと帰ってしまっている。これじゃあ、勝てない。
ちなみに、義経は、「洛中では略奪するな」と言っている。つまり、洛外ならし放題って事。何だかなあ。