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佐藤 清隆,古谷野 哲夫
幸書房
¥ 1,890
(2011-10)
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これは、どちらかというと農業系、かもしれないなあ。加えて歴史も。
チョコレートって、カカオから出来ているのはよく知られてるけど、そして、カカオの原産地がほとんどアフリカだってのも知られてるけど、では、何故、チョコレート工場は現地に無いのか、おかしいと思わないか? 思わなかったのだ。これを読んで、初めて気がついたのだ。
実は、カカオバターの成分が、熱帯ではすぐ溶けてしまうってことと、カカオってのは、発酵しないとチョコレートにならないって事がある。温帯では、発酵すべき菌が居ない上に、そもそも固まってしまって、発酵出来ない。更に、カカオって、種なんだけど、発酵するには実の殻(カカオポット)から取り出して、でも、実(カカオパルプ)をつけたままじゃないといかんのだ。生で食べると、カカオパルプは結構美味らしい。というか、野生動物はそのために、カカオポットを割って食べ、カカオ豆はいらないので捨ててしまっていたんだな。今でも、カカオパルプは酒の材料になったりもしている。
カカオはアオギリの仲間であるらしい。アオギリは、漢方でも薬として使われている。
カカオの花は、相当、美しい。熱帯特有の凄い美しさである。
カカオはもともと、メソアメリカでは砂糖ではなく唐辛子を加えて呑まれていた。地獄のように辛い苦いモノだったと思われる。
カカオにも品種があって、所謂アフリカで作られているのは、苦い品種。でも、メソアメリカでしか育たない品種のは、これが同じカカオか!?ってほど、ナッツ風味の味。ところが、病気に弱いし、アフリカでは育たない。何故?多分、滅ぼされたアステカの呪いってのが良い。
カカオにまつわる南北問題は知っていたけど、環境としても色々問題がある。それを解決するために、いろいろな農作物を混植して、環境を作り出して育てるって発想もあるらしい。まだ始まったばかりだが。
ミルクチョコレートは、眠りを誘うのに大変良いらしい。
それから、ショコラにまつわるフランスの事情の一例として、何故か、ベルばらのエピソードが紹介されていて、ちょっと、おお!?だった。センセ達、やるなあ。