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山下 文男
新日本出版社
¥ 1,680
(2008-01)
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3.11からずっと言われて続けたフレーズ。ようやく読んでみた。
・・・・凄かった。写真とか残ってないから、文献の文字資料だけなんだけど、それ故に凄まじい。死体の様子がどんなに悲惨なのか、その後の風景がどれだけ地獄なのか。津波による死者は、実は全身打撲がほとんどらしい。溺死なんか出来ない。だってそりゃそうだ。ものっそい勢いで押し寄せる波にたたきつけられるようなもんだ。だから苦しまなかったという解釈も出来るけど、あり得ない場所で折れて曲がっている。津波はあれは海水ではなく、海底から泥が押し寄せるようなもんだから、更に悲惨。退いた後も、地面の泥からちぎれた手や足が生えているような風景だってある。
なので、生き残りの少女が記憶喪失になってさまよっていたりとか、そういう話を読むと、ああ、自分のじいさんのじいさんも記憶喪失だったけど、海って恐ろしいと思う。
更に、掘り起こされた津波災害。戦中の津波は、軍事的理由から公表されなかったというか、無いものとして扱われた。だから、正確な被害や死者の数も判らない。というか、とんでもない被害だった筈なのに、ほぼ完全に隠蔽されたというそれがコワイ。情報を志すモノとして、何とも言えない。
で。
これは3.11のずうっと前から書かれた本だ。だが、いつかまた津波は来るから、「靴を履いて逃げましょう」とか「弱いモノを助け合って逃げましょう」「下級生の手を引いてあげましょう」とかいうショウガッコのマニュアルはくそくらえだ!と(意訳)言った、筆者の気持ちは、本当に、身にしみた。
警告は、確かにあったのだ。